詩を読むのが、怖かった

それは波のようで、濡れた砂浜に立つ素足を優しく掴んでは離す、そのたび何かを奪っていく、詩というものにはそういう悪いところがある。「奪われたもの」がどういうもので、なんの役目を、と聞かれてしまえば答えようがない

確かなのは

ガラスの目玉でむこうに浮かぶ蜻蛉の羽を見るわたしは、もうわたしでないこと